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21 少年犯罪に対する厳罰化について

 少年犯罪に対する厳罰化の流れを見ると、平成8、9年当時と、現在とでは隔世の感がある。
 
 少年の事件については、成人の事件とは別立てのルート、システムで取り扱われる。いわゆる少年保護事件手続きと呼ばれるシステムである。基本的には、少年が犯罪を犯しても刑務所にはいかず、少年院に送致される。裁判も刑事裁判として地方裁判所等で行われることはなく、家庭裁判所で「懇切を旨として、和やかに行う(少年法第21条)」ものとされている。
 判断力も未熟な若い時期に犯した犯罪によって、少年の人生が潰されてしまうことのないようにという、保護的、教育的な措置が行われているのだ。

 そこへ世論の厳罰化への要請を反映する形で、平成13年に少年法が改正され、「家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すときに16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない(少年法第20条2項)」とされた。

 同項の決定というのは、少年法第20条1項に定める検察官送致の決定である。検察官送致と言うのは、少年事件として取り扱うのではなく、成人同様の刑事裁判として取り扱う、という決定である。

 成人同様の刑事裁判になれば、少年であっても刑務所に送られる可能性も出てくる。少年法という保護的な枠組みの外に出されるわけである。少年法の改正によって、故意の生命犯に対しては、原則としてそういった措置を行うこととされたのだ。

 平成8年当時、筆者が勤務していた少年鑑別所で見た事例として、10数人で、1人の少年に殴る蹴るの暴行を加え、結果として、死に至らしめたという傷害致死の事件があった。この内、数人は、家庭裁判所の審判決定で(成人は裁判であるが、少年は審判と呼ばれる)、中等少年院送致、一般短期処遇の処遇勧告付という処分に付された。
 
 これは、簡単に言えば、6か月コースの少年院送りということになる。集団でよってたかって被害者を殴り殺して、約半年、少年院で過ごせば、あとは社会に戻ってこれるということになる。もちろん、何を持って、処分が重い、軽いとするかについては、本質的な理由は存在しないのであるが、今の社会風潮から見れば、ずいぶん軽いと言わざるを得まい。

 故意の生命犯であるから、原則的には検察官送致となり、成人同様の刑事裁判を受けるか、そうならずに少年保護事件手続きにとどまったとしても、現在であれば、一般短期処遇(6か月コース)で処分が終わるということは考えられない。

 ほんの10年近く前のことであるが、処分の重さの変化には驚かされる。この10年で、子どもの質が急激に変化し、厳罰を科されるに値するような凶悪さが増したのだとは思われない。
 ここでは、少年事件の処分を軽くしろと主張しているわけではないことに、留意していただきたいが、厳罰化が妥当なものであるかどうか、もう少し一般的に言えば、ある犯罪に対する処分の重さが妥当であるかどうかについては、結局のところわからないまま、処分の内容が変遷していくことを感じるのである。  

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