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17 犯罪は増加したのか?(その2)

 前節では、捜査機関の姿勢が変わり、世論もそれを後押し、あるいは、積極的に捜査機関に影響を与えることで、認知件数が増えていく、という話をした。

 それは、丁度、一番最初に話をした、飲酒運転の話と同じことがおこっていると考えるとよい。飲酒運転をする人が急激に増えたと言うよりは、世論に後押しされた摘発の努力の結果、どんどん事件として数値が増えていくのである。

 前にも述べたとおり、たとえ犯罪行為があっても通報がなければ暗数となるし、捜査機関への通報があっても事件として受理をされなければ暗数となる。その過程は行為の実行者,被害者,通報者となりうる一般人、捜査機関の姿勢、世論等の相互作用によって生み出されていくのである。

 この手の話としては、児童虐待や家庭内暴力,少年犯罪の凶悪化などいろいろ考えられるものがあろう。

近年大きな社会問題となった児童虐待は,児童相談所の相談処理件数が平成10年に6932件,平成13年が23274件と急増しているが,ここ数年で虐待の発生が急増したというよりは,虐待が社会的に認知されたことによる部分が大きい(龍野洋子 2003 児童虐待について―その実体と対応 更生保護,54,(8) 20-28)。

 誤解のないように断っておくが、警察で事件を受理するなとか、飲酒運転は取り締まらないほうが良いとか、児童虐待は放置したほうがよいとか、そういったことを言っているわけではない。

 世の中に犯罪に該当する行為が行われているのであれば、当然、それに対して何らかの対処をしたほうが良いのは疑いがないのだ。

 ただ、犯罪が多発した、治安が悪化した、などという社会問題として語られる話題が、本当にそうなのだろうか、というと、そうとばかりも言えないところもある、ということである。

 こうした問題については、犯罪統計というものの性質を考えながら、いろいろと可能性を考えてみるべきものであり、その意味で、現在のマスコミの作る世論には、偏りがあると言ってよい。 


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