« 6 レイブリング・パースペクティブ | トップページ | 8 操作的定義と概念的定義(その1) »

7 落ち穂拾い~犯罪研究の対象

 犯罪心理学,犯罪社会学,犯罪学などといった分野で,犯罪を研究する際には,単に刑法上の定義を持ってくるわけにはいかない。犯罪=刑法で定義された犯罪,という取り扱いをしてしまうと,犯罪として扱える題材が限定されてしまう。

 もし。犯罪学が刑法の犯罪の定義をそのまま借用すると,無罪推定の原則から考え,判決が確定して,犯罪行為が認定された者のみが犯罪になる。しかし,これでは犯罪の対象が極端に限定される。(~中略)
 犯罪学の目的は,科学的な方法を用いて,犯罪や犯罪者を理解し,犯罪の発生や再犯を防止する方法を考えることにある。ということは,犯罪学が対象とする犯罪は,刑法によって定義される犯罪とは,質的にも量的にも異なるものと言える。
(犯罪統計入門 浜井浩一(編) 2006 日本評論社  p.6)

 例えば,14歳未満の者が物を盗んだり,人を殺したりしても,それは刑法上は犯罪ではない(触法少年)。精神障害のため心神喪失状態にあった者が,人を殺してもそれは犯罪ではない。
 判決が確定するのは,長い裁判を経てからになることもあるので,それまではたとえどんな行為をしていても,それは犯罪ではない。

 また,対象とする行為が構成要件に該当しなくても,広く犯罪に関連した行為として取り扱われる場合がある。虞犯(ぐ犯)という概念がそれである。

イ)保護者の正当な監督に服しない
ロ)正当な理由がなく家庭に寄り付かない
ハ)犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りする
ニ)自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること

のいずれかに該当し,その性格又は環境に照らして、罪を犯し又は刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)がある少年(少年法3条1項3号)を,ぐ犯少年という。

 ぐ犯は家庭裁判所の審判の対象とされるが,ぐ犯は犯罪ではない。だからと言って,ぐ犯は,未成年がやってはいけないこと,非行のはじまり,あるいは非行そのものとも言え,犯罪でないからといって,研究の対象から外してしまうのは不自然だろう。


« 6 レイブリング・パースペクティブ | トップページ | 8 操作的定義と概念的定義(その1) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/190289/12115747

この記事へのトラックバック一覧です: 7 落ち穂拾い~犯罪研究の対象:

« 6 レイブリング・パースペクティブ | トップページ | 8 操作的定義と概念的定義(その1) »