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14 警察統計(その3)~統計数値

 能書きばかりが先行したので数値を見てみよう。

 法務省が出している犯罪白書から数値を参照すると、

 平成18年の刑法犯の認知件数は、287万7027件
 平成19年の刑法犯の認知件数は、269万0883件

 このうち、交通関係業過を除く刑法犯の認知件数は
    平成18年 205万1229件 
    平成19年 190万9279件
 であった。
 
 認知件数は、こういった書き方をされることが多いが、交通関係業過を除くというのは、交通事故による業務上過失致死傷、重過失致死傷を除いたもののことを言う。
 これらを除いた数値は、一般刑法犯とも呼ばれる。
 刑法犯というと、窃盗、傷害、殺人といったものがすぐに思い当たるが、過失で交通事故を起こした場合も刑法犯になるのだ。

 しかし、交通事故となると、なんとなく刑法犯のイメージと違う上に、数も相当に多いので、それを取り除いた数値を提示することで、一般的な刑法犯のイメージに沿った犯罪の量を把握しようとしているわけである。

 ここで、細かい注釈を入れるが許されたし。
 平成18年の一般刑法犯を警察統計から調べると、
     205万850件
 という数値がでてくる。これは、犯罪白書の数値に比べて379件少ない。
 それほど大きな差ではないが、どうして数値が違っているのか。

 これは、犯罪白書には、危険運転致死傷の379件を一般刑法犯にカウントしていることによる。警察統計には、この危険運転致死傷を、一般刑法犯に含めないため、数値が減っているのである。

 危険運転致死傷は、先にも出てきた。
 交通関係の犯罪であるので、一般刑法犯から除かれても不思議ではないが、悪質な犯罪と言うことで、犯罪白書では、含めているのかもしれない。

 危険運転致死傷を
  法務省は一般刑法犯に含め
  警察庁は一般刑法犯に含めない。
 飲酒運転許すまじといった、姿勢がそうさせているのかどうか、詳しい内部事情はわからないが、定義や操作の仕方で統計数値が変わってくる好例であろう。

 閑話休題

  平成18年の刑法犯検挙件数は、146万6834件であった。
 検挙率は、
    146万6834/287万7027≒0.509
    つまり、50.9%である。

  同様に、
  平成19年の刑法犯検挙件数は、138万7405件であった。
 検挙率は、
    138万7405/269万0883≒0.5334
    つまり、51.57%である。

 
  次に、 刑法犯の認知件数と少年刑法犯の検挙人員の推移を見てみよう。

19
Photo

 この2つのグラフは新聞報道や週刊誌などで,しばしば出てくる有名(?)なもので,みなさんの中で見たことがある人もいるのではないだろうか。

 認知件数が増加を続けた平成14年頃には、マスコミの報道だけではなくて,研究論文の至る所で引用されている。

 グラフを見てわかるように、刑法犯の認知件数は平成14年まで増加の一途をたどっていた。

 「犯罪の増加,治安の悪化」

 が社会問題として取り上げられるようになったゆえんである。

 ところで、刑法犯の認知件数は平成15年,平成16年、平成17年、平成18年、平成19年と減少傾向にある。

 一般刑法犯の平成20年の数値は、警察庁の速報値で
    181万8023件
 であるから、さらに、件数は下がっている。

 また,少年犯罪の検挙率は平成10年まで、局地的に増加し、第4の波は来るのか?などと騒がれたものであるが、平成15年以後は、減少傾向にある。

 だからといって、マスコミは、日本はどんどん平和になっています、などと報道するわけではない。殊に、少年犯罪では,多発化に加えて,凶悪化というキーワードで頻繁に語られている。

 統計数値の上では,確かに,かつて犯罪は増加傾向にあった。しかし,犯罪統計がどのようなものであるのかについては,これまで見てきたとおりであり,真実の現象を示しているわけではない。
 もちろん、最近では犯罪は減少傾向にあるが、これとて真実の現象である理由はどこにもないのであるが。

 ここで、頭に残しておきたいこととしては、

 犯罪の増加,治安の悪化については,本当にそうなのか?

 という疑問を頭に浮かべながら,統計数値の意味を考えていく必要があるということである。

 この話題については少し後で考えてみることにしよう。

 


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